診療科部長からのご挨拶

診療科部長 准教授

藤島 清太郎

藤島 清太郎

 

2018年4月から総合診療科を担当する事になりました。どうぞ宜しくお願い致します。

 慶應義塾大学医学部は、創立以来実学としての医学を実践してきました。慶應義塾大学病院において、総合診療科は2014年に設立された新しい診療科ですが、この理念に沿った臨床・研究・教育を担って参りたいと思います。

総合診療科は、従来から各地に存在しましたが、これまで十分な数の医師が育成されず、必ずしも社会のニーズに応えられていませんでした。しかし、医療の細分化や社会の高齢化に伴い、総合的な診療を担う医師の重要性が再認識され、2018年度から開始された新専門医制度では内科や外科などと並ぶ基本診療科に位置付けられました。当科には、今後多くの医師を育成し、社会に送り出すことが期待されています。

 総合診療医は、どの様な症状・病態の患者さんにも適切な医療が提供できるよう研修を積んだ医師です。一般的な疾患については標準的な診療指針(ガイドラインなど)やエビデンスに基づいて継続的に診療を担い、緊急対応や専門的治療を要する疾患については、診断の目安を付け、適切な診療科や医療機関に紹介する役割を担います。従って、専門的な診療を主な役割とする既存の診療科とは明確に異なるキャリアパスとなります。

慶應義塾大学病院総合診療科では、1)多様性(Diversity)と2)柔軟性(Flexibility)を重視した総合診療医の育成を心懸けています。
 1)多様性とは、各自の志しや個性に配慮し、皆が適切な分野で活躍できるよう、教育体制や勤務環境をアレンジすることです。総合診療医は、地域の診療所や在宅施設において地域の主治医として活躍することはもちろん、病院の総合診療部門、救急外来、僻地・離島医療、船医、産業医など様々な分野での活躍が期待されています。
 2)柔軟性とは、状況に応じて柔軟な判断や対応ができる能力です。総合診療医は、様々な慢性疾患、急性疾患の診療に関わります。両疾患ではタイムコースが全く異なりますので、自身の時計の針の進め方を、診療状況に応じて自在に調節できる能力が求められます。また、経験の乏しい傷病への対応が求められた場合でも、柔軟性が発揮できることが重要です。

当科の後期研修では、上記の役割を担うために必要な体系的知識、すなわち内科学を基本とし、これに加えて小児科、救急科、外科、整形外科、精神神経科、皮膚科、耳鼻科、眼科などの各領域の頻度の高い疾患、及び医療・介護制度を総合的に習得できるプログラムを、全国各地の病院・診療所と連携し提供できる体制を整えています。また、育児中の女性医師、総合医としての再出発を目指す他科専門医の研修にも柔軟に対応致します。

今後とも、慶應義塾大学病院総合診療科を宜しくお願い申し上げます。

2018年8月 藤島清太郎